2022年7月2日 第3回富士山QQ災害撮影研究会が行われました。
今回のテーマは「災害」でした。
南海トラフ巨大地震が発生すると、静岡県から宮崎県にかけて震度7前後の地震が発生する恐れがあります。このような地震が発生した場合、大きな被害が予想されています。
また、昨今、異常気象により河川の氾濫や土砂崩れなど多くの災害が発生しています。
これらの災害が起こると、多くの患者が病院へ搬送されてくることが予想されます。
診療放射線技師は、災害が発生した際、「何ができるのか?」「何をやらなければいけないのか?」「今からできる準備は何があるのか?」これらの疑問を解決すべく、2人の先生にご講演していただきました。
まず、「南海トラフに備えるために〜東日本大震災の実際〜」というテーマで、石巻赤十字病院 及川 林先生にご講演いただきました。
震災後、石巻赤十字病院には、多くの患者が来院しました。初日は100名程度だったが、徐々に増えていき、3日目には1250名の救急患者が来院されました。それ以降も700名、600名と患者が次々来院され、病院のフロアはごった返しました。トリアージはとても大変でした。患者の容態として低体温、肺炎(津波肺)、持病悪化などで来院された人が多く、重症の外傷は少なかったです。
ライフラインの復旧は、電気は2日、水道は5日、ガスは1ヶ月かかりました。そのため、病院は、非常電源にて稼働しました。その中で、放射線機器は一般撮影装置1台、CT装置1台、ポータブル2台、MRI装置1台、X線透視1台、血管撮影装置2台を稼働させることができました。一般撮影装置は3台中1台の稼働だったため、ポータブル装置を有効活用しました。CTは、1台稼働でした。その中で、造影検査は少なかったです。これは赤エリアリーダー医師が、災害医療において検査がボトルネックになる(業務のスループットが悪くなること)ことを認識していたためです。MRIは使用できましたが、原則使用不可でした。MRI撮影前には、患者についた汚れを落とす必要があります。しかし、災害時、汚れを落とすための十分な水の確保はできませんでした。よって、MRIは原則使用不可となりました。血管撮影は2台稼働しました。オーダーリングシステムは、赤エリアはオーダーリングシステム、黄、緑エリアは紙運用でした。災害が落ち着いた後、紙運用したものを電子カルテに事後入力する作業は大変だったようです。PACSは使用可能でした。そのため、震災初期時、赤エリアはモニター診断、黄、緑エリアはフィルム診断で運用しました。震災後、フィルムをPACSへの取り込む作業は大変でした。
震災は、突然、やってきます。私たちは突然、被災者になります。突然、支援者としての使命がのしかかります。突然、経験のない業務が降りかかります。長丁場となります。これらのことを認識して、まず覚悟を持つことが、災害医療の第一歩となります。
次は、「熱海土砂災害を経験して〜現場に最も近い小規模災害拠点病院からの報告〜」というテーマで、国際医療福祉大学熱海病院 秋津 賢太 先生にご講演いただきました。
2021年7月3日AM10:30、熱海で土石流災害が発生しました。
それに伴い院内に災害対策本部が設置されました。
まず、SNS、メディア、インターネットを使って、情報収集が行われました。情報収集の際、誤情報がたくさんありましので、正しい情報を選別することに気をつけました。
情報収集後、組織体制づくりを行いました。組織体制づくりでは、院内で情報を共有できるよう情報共有の仕組みやツールを整備することが重要となります。
次に、診療エリア及び診療体制の決定を行いました。ここでは、過去の土砂災害の事例を参考とし、院内体制を整え、トリアージブースを作成し、人員を配置しました。診療エリアの初期対応として、診療環境の調整、コロナウィルス対策、メンタルケアなどを行いました。診療環境の調整では、患者は土砂から救出されてそのまま搬送されてくることが想定されたので、トリアージを行い、まず低体温対応と土砂対応を行なってもらいました。コロナウィルス対策では、スタッフ全員がPPEを着用し、搬送患者には抗原検査を行いました。メンタルケアでは、患者に災害特有のメンタルケアが必要でした。さらに、患者だけでなく職員のメンタルケアも重要であると感じました。
災害はいつ起こるのか分かりません。災害マニュアルは詳細まで決めておかないと、災害時に実践できないことが多いです。BCPなどの防災・災害マニュアルは必ず実践することにより不備がないか確認してください。
災害時、一人では何もできません。多数の方の協力が必要不可欠で、チームダイナミクスが非常に重要となります。
私たち医療従事者は、災害時、多くの人々の命を救う立場です。
いつかやってくる災害に向けて、日頃からしっかりと準備を行いましょう。
〜富士山QQ災害撮影研究会の裏側〜
世話人、発表者で集まり、このような形で配信しています。
たくさんのパソコンですね。
もちろん、感染対策も行なっています。
研究会が始まる前です。
みなさん、緊張気味ですね〜。
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